「みんなのうた」〜歌の話〜
SMAPはけして歌はうまくない。
ただ、表現力が振り切れてる。
SMAPという生き方を軸にした唯一無二の表現力が振り切れてる。
提供者の意図した世界観を捉えながら、時に裏切りながら、そこにSMAPカラーを上塗りして自分たちの「もの」にしてしまう。
あの、五人揃った時の歌声の力強さはなんだろう、といつも思います。
見栄えの迫力も含めて理屈じゃないってこういう事かと思わされます。
歌がうまい人なんていくらでもいる。でも、彼等は努力じゃどうにもならない歌の核心を掴むセンスと、それを表現するエネルギーに溢れてる。
強烈に歌の世界観が響くのは、SMAPが提供された歌に自分たちのリアルを乗せてきた時。
いい作品は、嘘の中にほんの少しのリアルがなくてはならない。
それが、表現者本人にとって大切な内容であればある程素晴らしい。(持論です。)
「世界に一つだけの花」を歌う個性豊かな五人組。
彼等にとっての「BEST FRIEND」。
「オレンジ」の歌詞を変えてしまうセンスと行動力。
「らいおんハート」と結婚のタイミング。
2015〜2016年のテレビ生ライブで「STAY」を選ぶセンス。
あのタイミングで「糸」を選ぶセンス。
彼等が歌うからこそ意味がある。
スキルじゃなくてハートを乗せる。
どんなにうまい人がどんなに素晴らしく歌い上げても、ナンカチガウ。
SMAPとしての軸を持ち、時に自分たちのプライベートを曝け出してきた彼等だからこそ説得力が違う。
作品をもって受け手にそう思わせる力は、表現者誰もが欲してやまないものでしょう。でも、誰もが手に入れられるわけじゃない。国民的アイドルじゃ規模も違いすぎる。
他のすべての作品がそうであるように、SMAPはこの世でただひとつ。代わりがきくものじゃない。比べるものじゃない事も分かってる。
でも、こんなに提供される作品に真摯になりながら「歌える」知名度の高い存在が日本の芸能界に他にいるだろうか。
どうか彼等の価値を分かってくれないだろうかと、未だに思う。